関西電力は8月20日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町)の原子炉容器の上蓋(うわぶた)に設置された温度計の接続部分から放射性物質を含む微量の蒸気が漏れたと発表した。関電は外部の環境への影響はないとしている。原子炉からの1次冷却水漏えいは異例。関電は9月中旬にも4号機の営業運転を予定していたが、日程への影響は必至だ。
関電は「作業員に限度を超える被ばくはなかった」とする一方、詳しい状況を調べている。
関電や福井県によると、漏れたのは原子炉内の水温を測る温度計を収めた「引き出し管」という部品。接続部分のパッキンなどに隙間(すきま)があったとみられる。防護服を着用した作業員が、足場上で鏡を使って原子炉容器の上部を点検中に気付いた。
4号機は24日に予定していた発送電に向けて原子炉の起動を準備していた。制御棒を挿入した状態で冷却水の温度と圧力を徐々に上げ、当時は286度で157気圧だった。
高浜4号機では2016年2月、原子炉を収めた格納容器の外側で弁から1次冷却水漏れが確認された。関電によると、原子炉容器上部では07年1月、美浜原発1号機で同じく温度計付近で冷却水の染みだしがあったという。
高浜原発は1〜4号機とも加圧水型(PWR)。3、4号機はウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電をしている。4号機は15年2月に新規制基準に合格。16年3月の大津地裁差し止め仮処分などで停止していたが、昨年5月に再稼働。今年5月に定期検査に入っていた。
関電は「ご心配をおかけしたことをおわびし、原因の究明に全力を尽くす」とのコメントを出した。【大森治幸、高橋一隆】画像は関西電力高浜原発4号機(手前)。奥は3号機=本社ヘリから小松雄介撮影。
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